デンマーク語はインド・ゲルマン系の言語で、スウェーデン語やノルウェー語と近い言語です。また、オランダ語やドイツ語、英語と同系列の言語だといえ、きわめて英語に近い文法体系を持った言語です。デンマーク領フェロー諸島、グリーンランド以外のデンマーク王国の公用語です。発音体系が難しく、文章構成方法も論理的に文章を書かなければ文とみなされない。また、文章に論理性が要求されるにもかかわらず口頭では曖昧な言葉を用いる場合も多いようです。文法は簡単で他国からの語彙の借用をあまり受け入れなかったため語彙も少ないです。
英語のアルファベットを多く利用しています。
A(a) B(b) C(c) D(d) E(e) F(f) G(g) H(h) I(i) J(j) K(k) L(l) M(m) N(n) O(o) P(p) Q(q) R(r) S(s) T(t) U(u) V(v) W(w) X(x) Y(y) Z(z) {AE}({ae}) {OE}({oe}) {AA}({aa})
多くはローマ字読みですが、非常に不規則な部分が多いです。また、非常に複雑で難しい発音体系を持っています。特に母音の数は20〜30と、その多さは他の言語と比べても珍しいでしょう。カタカナでの表記もあまり意味がありません。
デンマーク語には母音が多いことは前述の通りです。また、多くの言語にもあるように短母音と長母音があります。次に母音と短母音、長母音を挙げます。
これらの9種類の短母音、長母音、非円唇、円唇を組み合わせて膨大な数の母音を使用します。jはイャと読み、半母音として使用します。さらに、これらを組み合わせた二重母音も存在します。
c, q, w, x, z は外来語のみで使われる文字です。
[z]の音がなく、また破裂音[p, k, t]は息を強く出す帯気音と息を出さない無気音の区別をしています。語頭のp, t, k は息を強く出すパ行、タ行、カ行で発音し、b, d, gは息を出さないパ行、タ行、カ行で発音します。[b, d, g]の音は母音と母音の間で現れます。
rはフランス語と同じです。また、chもフランス語のようにシェッと発音する場合もあります。
英語のthisやtheにある「舌をはさむザ行」がありますが、英語のように上の歯と下の歯の間で挟むというより、舌先は下の歯の裏にあって舌の前方が上の歯茎から歯の裏にかけてべったりくっついている感じのようです。非常に特徴のある音で目立ちます。
声門閉鎖があります。声門閉鎖とは、発音の途中で声門を瞬間的に閉じて「ッ」のような詰まった音を出すことです。また、綴りにあっても発音しない文字もあります。
前述したように、デンマーク語は綴りと発音が大きく異なっています。また、単語によっても不規則に発音が変わってくるため、単語毎に発音を覚えなければなりません。次にいくつか単語を挙げますので発音の練習をしてみましょう。カタカナ表記はほとんど意味はありませんが、一応記述しておきます。
(※1)米語のrを発音するときのように舌を持ち上げるように発音します。
(※2)唇をエとイの中間ほど開き、エを発音するときの調子で息を吐き、舌も少し前に出して発音します。
(※3)唇をオの形(円唇)にしてエを発音します。
デンマーク語にも名詞に性があります。しかし、ラテン語のように女性・男性・中性のような分け方ではなく、共性名詞と中性名詞に分けられます。また、性の分け方もラテン語のように語尾を見て判断できませんので、単語を覚えると同時にその単語の性まで覚える必要があります。
しかし、名詞のおよそ7割以上は共性名詞だそうですので、中性名詞を覚えてそれ以外を共性名詞だと判断するほうが効率がよいでしょう。
デンマーク語の名詞は所有格をあらわす「名詞+s」の変化以外は形が変わりません。それではどのようにして名詞に主格や与各などの格の意味を持たせているのでしょうか。デンマーク語の場合は「前置詞+名詞」で名詞に格の意味を持たせています。目的語(〜を)を作る対格は英語と同じように人称代名詞を覗いて語順で判別しているものと思われます。
+--------+--------------------------------------+---------+ | 主格 |_________________属格_________________| 対格 | | | 共性名詞 | 中性名詞 | 複数名詞 | | +------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 一人称単数 | jeg | min | mit | mine | mig | +------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 一人称複数 | vi | vores | os | +------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 二人称単数 | du | din | dit | dine | dig | +------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 二人称複数 | I | jeres | jer | +------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 二人称複数 | de | deres | dem | +------------+--------+------------+------------+------------+---------+
二人称複数は2つあり、duは「君」、複数形のIは「君たち」にあたります。一方deは「あなた」あるいは「あなたがた」という意味になります。とはいえ、デンマーク語は初対面でもduを使うことが多いようです。
三人称は少々ややこしいので、次に別の表で解説します。
+--------+--------------------------------------+---------+ | 主格 |_________________属格_________________| 対格 | | | 共性名詞 | 中性名詞 | 複数名詞 | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称男性単数 | han | sin | sit | sine | ham | | 主語の彼 | | | | | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称男性単数 | han | hans | ham | | 主語とは別の彼 | | | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称女性単数 | hun | sin | sit | sine | hende | | 主語の彼女 | | | | | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称女性単数 | hun | hendes | hende | |主語とは別の彼女| | | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称中性単数 | den | dens | den | |共性名詞を受ける| | | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称中性単数 | det | dets | det | |中性名詞を受ける| | | | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+ | 三人称複数 | de | deres | dem | +----------------+--------+------------+------------+------------+---------+再帰代名詞 人称に関係なく全てselvを使います。
デンマーク語などの北欧諸国の言語は、定冠詞は名詞の前ではなく後につきます。これを名詞の定型といいます。デンマーク語の場合、共性名詞の定形は「名詞の不定形 + en」、中性名詞の定形は「名詞の不定形 + et」という形になります。
例えば、「名前」という単語を英語とデンマーク語でそれぞれ表すと次のようになります。
英語 :the name
デンマーク語:nevnet(navn + et)
デンマーク語の不定冠詞には、enとetを使います。不定冠詞は英語では「a」のような役割を果たし、oneの意味となるときもあります。enは共性名詞につける不定名詞で、etは中性名詞につける不定冠詞です。
例えば、「一匹の犬」という単語を英語とデンマーク語でそれぞれ表すと次のようになります。
英語 :a dog
デンマーク語:en hund
複数形の名詞につく場合は「e-ne」のようになります。
英語ではactually(実際は)という意味になります。-ligは英語の-lyと同じような役割を持ち、形容詞をつくる接尾辞です。しかし、この例では副詞を表しています。
英語ではso(とても)という意味になり、英語と同様に様々な意味を持ちます。